14. 日本画の未来   一般的には馴染みの薄い日本画。住宅事情とともに一部の市場しか見かける ことがなくなってしまった。ただ日展でも人気の作家は日本画に多い。先日亡 くなった奥田元宋や東山魁夷、院展の平山郁夫など人気作家の知名度の点では 日本画の方が高い。また文化勲章、文化功労者の受賞者も11人と洋画に比べ多 い。 そもそも日本画とは近代洋画とほぼ同時期に生まれた絵画との認識はされてい ないだろう。一般的には中国からの水墨画と同じものに見られている。また画 題が日本的な風景や花を用いるので日本的イコール和風の認識を抱くのではな いか。その点も洋画と比べ一般化しない要素をもっている。 額縁に絵を入れる文化は西洋の文化で日本画家のほとんどは作品を額装するの ではなく掛軸に仕立てていた。日本の建築様式を見れば飾る場所は床の間に限 られ飾るというより置く(風よけ)、立てる(分ける)の屏風や衝立のほうが本来 のありかただ。つまり絵画は引き立て役と考えてもいいだろう。 日本画の認識を洋画と分けて考えた場合、油絵、水彩、パステル、版画などの 作品は洋画に、岩絵具(鉱物などを砕いた顔料)を膠(にかわ)で溶いた絵具で描 く、ないしは墨を使って描く、これらを日本画というふうに大別できる。しか し使う材料だけで考えるとそれほど大別して考える必要はなくなる。例えば西 洋の壁画などは卵の黄身に顔料で溶いたテンペラ技法で描かれ、日本画の膠で 溶くのと質感においては差異はないのだ。先に述べたとおり一般的には描く構 図や額装(軸装)の状態で和風、洋風の区別をしていると思う。 日本画の将来を考えるに、この点に大きな課題があるのではないか。描くもの に制約があれば、市場は閉塞していくのではないかと考える。今人気の中堅日 本画家は一貫したテーマで作品に取り組んできた。画風にもそれほどの変化は ない。作家によってはピカソなどの変遷をみて実力もないままに進化を考える。 それはけっして変化であっても進化ではない。変えると変わるとは明らかに違 う自己の確立もなしに変化しても市場の評価は薄いことを自覚すべきだ。一般 に作家の知名度は作品の画風に比例するのだ。 もっと制約なしに実力ある若手日本画家の台頭を望む。徒弟制度の弊害か。魅 力ある作品が少ない。若手の脱個性化だけが目立つ。バブル崩壊とともに現在 の中堅作家以降の作家に魅力を感じないし市場の評価も低い。日本画市場の危 機感はデフレとともに加速していると思う。 日本画の国際的な評価は江戸以前の日本美術の評価と比べれば低い。これは国 際的な日本画家がいないことに起因する。デザイン、建築はもとより現代美術 の分野で評価の高い日本人は数多く存在する。本来日本画の独自性を考えれば 評価されても不思議ではないのに、日本で一流と言われた日本画家が国際舞台 に進出しなかったことも原因の一つといえる。現在一部の日本画家は舞台を日 本以外にうつす作家も出てきた。若手も狭い日本に固執せず、海外に目を向け るべきだ。但し自分の実力を認識した上でないと個人の評価以上の日本画の評 価を落とす結果になる。