12. 続一般市場につけいる絵画  前にも述べたがキャッチセールスまがいの高額絵画商法が後を絶たない。新 年早々耳が痛い話をするが、これも業界にとって美術愛好者にとって新しい年 がいい年であるように願うべく話をしたい。 昨年末に交換会があり相変わらずのインテリアアートの価格の暴落には驚く。 まあこれもインテリアアートの価格自体が想像を越えるほうがいな価格のため に感じることかもしれないが、かなり安い値段で売られた。その会ではマック ナイト、アイベン・ドール、ビュッフェあたりが多く出ていたが、ビュッフェ は比較的高い値がついていた。しかしながらアメリカを中心にした作家は一時 の勢いは消えうせた感がある。おそらく市場価格の五分の一から十分の一程の 値段だろう。バブル崩壊直後でも三分の一程度が今ではどんどん下がってこの 状態だ。インターネットの版画商やオークションなどでもその推移は知ること が容易にできる。もし読者の中にまた知り合いの方が高額でこれらの版画を購 入されていたなら、一度試しに調べてみれば一目瞭然に現在の価格が解る。但 しこれは市場価格で買取価格はさらに低くなることを知っていただきたい。 こんな状況を明らかに作り出したのは、絵画は高くて当たり前という神話のも とに車のローンを組ませるように若者に簡単にローンを組ませ、絵を見せる前 にセクシーな服装で馬鹿な男どもの視線を釘付けに絵に虜でなく女性の虜にさ せた業者だ。最近ではこの魔力も都会では通用しないのか地方に進出。まんま と手口にひっかかり被害者続出の状況だ。しかも購入者は被害者の自覚がない から太刀が悪い。つまり自分が被害にあったことに気が付くのが遅いのだ。本 来絵画は、安らぎと勇気を与えるものなのに真綿で首をしめるように高額ロー ンが購入者を苦しめていく。そして被害者は絵画に恐怖心を抱きアートから離 れていく。良心的な業者は、そもそもローンを組ませてまで売らない。そうい う業者のターゲットになる作品を高額で売ることはしないのだ。 絵の良し悪しはその人の価値基準だから他人が口を出すことではない。事実ア メリカンアートのファンは多い。代表格のヒロ・ヤマガタはアメリカで未だに 根強いファンをもっているし、彼のサクセスストーリーはハリウッドの有名俳 優によるところが多いのも周知の事実だ。考えてほしい。百万以下の中古車を ローンで買う若者が百万近い版画を買う国がどこにあるのか。少なくとも絵画 において物の価値が解らない者に商売をしてはならないと思うし、賢明な読者 にそう言った被害者がいたなら諭していただきたい。こんなことが続けば確実 に日本のアートは消滅する。 版画家といわれる作家を除いて、現在オリジナルのリトグラフ、シルクスクリ ーンと言っている版画で高額(個人的には10万円以上を基準に考えたい)な作品 はなぜ高いかカラクリをお教えしよう。版画の価格は製作費用と作家に払う費 用(著作権料のようなもの)に版元(元の業者)の利益をに基づいて算出される。 特にシルクスクリーンの技術は目を見張るものがあるが、その技術は機械化に よるところが多い。例えば今の高額版画の大半はこの機械によって作られてい る。エディション数が多いのも機械化によるところがある。例えば有名な作家 の作品もアマチュア画家の作品も同じ工房で制作すれば制作費用に差がない。 あとは作家に払う費用と版元の儲け分から考えれば、その版画が適正な価格か は判断できるだろう。簡単に言えば名のある作家しか版画は利益が望めない仕 組みになっている。価格の適正を見るにはその作品の作家が価格に比例する作 家かどうかを考えるべきだ。いきなり版画にうん十万もするシンデレラボーイ などそもそも存在しない。作家は市場のニーズに比例して評価されるのが本来 で、業者の独占で高額になる版画に美術品としての価値はないことを知るべき である。