7. インテリアアートの境界線  さて今まで長々と美術の仕組みについて述べてきたので、いつになったら 本題の絵画選びに入るのかお怒りの読者もお見えでしょう。しかしながら 今までの前置きは絵画選びの重要な要素でもあるので、その点をお許しいた だいて、いよいよ本題に入りたい。今回は摩訶不思議な世界。インテリア アートから進めたい。 世間一般になじみのある絵画といえば、ほとんどこの部類に入るインテリア アート。いわゆるどこかの番組の鑑定士言わく、鑑賞画とも言われるもの。 または、前にも述べたパンガといわれる絵画を指します。このインテリア アート実に範囲が広いのだ。 例をあげれば美術館のポスターから百貨店のインテリア売り場の油絵、さらに キャッチセールスで有名な外国版画まで多岐にわたる。価格に至っては数千円 から百万円近くにも広がる。客層も年代層に合わせて用意されたといって良い 世界だから幅広い。そしてそれぞれに扱うものは違っても商売として成立して いる。 一般に家宝として後生大切にしまってある絵画のほとんどがこの鑑賞画または パンガの類といっていい。つまり投機的価値は無いのだ。しかし当社が扱う 絵画もその部類が多いことも事実で顧客もそのことを理解していただいている。 だからきれいな言い方をすれば鑑賞画、見て楽しむ絵画なのだ。だから、飽き られれたり、汚れたりすれば焼却されても差し支えはないものと言ってもいい。 絵画を冒涜するなとお叱りを受けるかもしれない。しかし消費社会の中で絵画 だけが別物とは言いがたい。逆にそんな社会だからリサイクルも叫ばれている。 売り手が大切にと叫ぶものではなく、買い手の価値基準によるしかない。 ポスターは美術館にある名画を疑似体験するものとして存在するし、パンガと 言われる油絵は同じ絵をただ消費者のニーズに答えて描きつづける。食うため の手段。作家が一切手を下さず、サインに高い価値がある?高級インテリア 版画に至っては若者の美術離れを助長する存在にしかない。 事実ネットの中で高額なインテリア版画を業者価格で販売するお店も多く存在 する。その絵が好きで個人的満足を得たいのなら、五分の一、十分の一の価格 で購入できるからこちらをおすすめする。これも一時の興味でローン地獄には まり絵画を手放した若者たちがいるから成り立つ図式だろうが。 こんな状態が続けば業界の死活問題になりかねないし、純粋に画家を夢みて 制作活動に励む作家の芽をつぶしかねない。そこで読者の皆様にインテリア アートの適切な定義を私なりに考えてみた。これはインテリアアートの特色で もある大衆性や日常性の点で重要な役割を果たしているからだ。 @価格において適正なものか。  日常生活を圧迫したりその商品がじゃまな存在に思えるものでは価値はない。  高額なインテリアアートを購入すれば時間の経過とともに高額の投機が作品  へのイメージを損なっていくケースが多い。インテリアアートに無理をして  買うことは無いのだ。納得して購入するか。結婚や新築などのお祝い品と考  えると意外と最適なものだ。およそアートに無関心な方々への興味の入口に  なり結構喜ばれる存在だ。それと同じものがダブルと言うこともまずない。  贈り物にふさわしい金額と考えるとわかりやすいと思う。 A品質の上において適正なものか。  インテリアアートには量産品が多い。それが肉筆だろうが、版画、印刷でも  品質の点において良質でなければならない。たとえば肉筆の絵画の場合は  丁寧な仕上がりを重視する。印刷物ならオフセット印刷などより版画技法を  用いたもの(シルクスクリーン、セリグラフ、リトグラフ)を選ぶ。退色の点  で違いが出てくるので注意。アートポスターなどはオフセットとリトグラフ  では値段、退色の点で差が出てくる。版画の場合はエディション(作品の左下  にある数字)数を基準に考えて見ると良い。価格とも関係するが、150部  前後の作品は自刻刷りの作家が多い。(この場合私は、インテリアアートとは  別のものと考える)よってオリジナリティーも高い。版もつぶしてしまうの  でそれ以上作品として存在しない。ヨーロッパの版画は300前後が多いが  大半は工房刷りが多い。浮世絵版画などの木版画に匹敵する存在だ。  フランスなどはリトグラフ(石版画)の版画工房が数多くあり、作家も油彩画  のほかに版画を制作することが多い。価格もレートの関係でバブル当時の価  格の三分の一程度の価格に収まっているので適正なものと言える。 以上2点の定義を基準に考えていただければ楽しむには十分な美術品と言える。 今回一般にインテリアアートの部類に入る高額な巨匠版画や一部人気外国作家 の作品ははずしている。これらは版画の項で詳しく述べるとしてインテリアー トその名の通りにインテリアの一部と考えればいいと思う。部屋を飾る演出の ひとつと考えていただきたい。美の価値観はそれぞれ千差万別。楽しむ感覚を もっていただきたいものだ。